シンパパ内科医 おむらいすのブログ

こんにちは、おむらいすです。子育てや内科医としての日常の記録です。

『大学病院でのキャリア』から『開業医になる』ということの変化

シングルファーザーになって、大学病院で医師をすること、それなりの立場になることは大きな挑戦でした。

キャリアップを考えると、臨床的な技量がある程度ついてくると、最も必要なことは研究業績であることは上司からも、それ以外の諸先輩方からもよく言われていることでした。

子育てのせいにして、キャリアップを目指さなくなること、仕事に十分なエフォートを割かないことは、子供たちのせいにしているのではないか。。。と悩む日々でしたが、言い訳にするくらいならできることを十分にやってみよう、という4年間でした。

 

あることをきっかけに、ふと自分の生活を振り返ってみると、『これが自分がやりたかったことだったのかな。。。』と思うようになっていました。

勿論、自分が身に着けたスキルは、非常に面白い魅力的な分野で、一生を賭して極めるに十分な魅力的な領域であることは認識していますし、そこに情熱をもって治療にのぞんでいることは今現在も何ら変わりません。人生がもう一度あったとしても間違いなく進んでいた道と思いますし、そこに導いていただいた師匠である先生には、生涯の師匠、恩人ということは変わりません。

 

一方で、自分の診療所で自分の目指す診療を行ってみたい、という気持ちは強くなりました。それはコロナ禍で、専門治療が一時中断し、数年ぶりに病棟担当としてチームリーダーをしたことがきっかけでした。

『先生の説明が分かりやすくて、安心して治療できたから感謝してます。これからもお願いしたいです。』

そんなふうに言ってもらって、高度な技術の専門医療だからではなく、一医師として実地医療をしたいと思うようになりました。

 

また、家族の変化もそこに大きな影響を与えました。

 

今日は

『大学病院でのキャリア』から『開業医になる』ということの変化

 

  1. キャリアに関する考え方
  2. 医療と経営 向かうベクトル
  3. 勉強すること
  4. どんな医療がしたいのか

 

1.キャリアに関する考え方

キャリアップを考えるとき、最初のモチベーションは、自分の裁量である程度の診療や手術などの治療を行う時にはそれなりのポジションが必要であるということではないでしょうか。

やはり、ヒラでは自分の裁量で診療や治療の責任をとることができないため、実践することができないということが挙げられます。特に大学病院ではより先進的な高度な医療を実践するため、これらを倫理委員会や医療安全を担当する部署を通して、事務的な手続きを経る必要があります。

また、これらの先進的な医療を行う際には、ある程度の経験値が必要ですし、場合によっては研究費が必要になります。これらもキャリアップが必要になる理由と考えます。

これらは、業務上必要になる出世であって、やりたいことをやるために地位が必要ということです。

一方で、こういったことが必要ないと考える医師はどうでしょうか。いろいろな状況があると思いますが、そういった責任をとる必要がある医師はそれほど多くありませんし、自分でどのくらいのスキルが身につくかということは、ある程度経験してくると周囲との違いで分かるものではないでしょうか(普通は。。。)

 

研究も同様で、やはり研究費や自分のしたい研究を行うためには、責任あるポストだったり、人手を確保するためにも一緒に研究する大学院生や研究室のスタッフが必要で、ある程度のポストが必要になってきます。(そのような人はほっておかれません)

 

一方で、開業医を目指す場合には、こういったキャリアップはあまり必要ではありません。開業医という立場で何をやるか、に依存しますが、多くの開業医の先生はそう言ったルートを経ていないものと考えます。

 

ただ、外科専門病院などの場合にはキャリアが人を呼ぶものになりますので、専門医資格などというもの以上に、重要な要素かもしれません。私は、今までのキャリアを最大限活かしたいとは考えていますが、十分に発揮できるものはどうかは、診療スタイルにもよるのかと、検討する必要がある項目と思っています。

 

2.医療と経営 向かうベクトル

大学病院でのベクトルは診療と、研究、教育に向かっています。とくに研究は重要な位置を占めています。診療についても、新しいことを取り入れて、実践し、データを出していくことが必要です。

一方、開業では自分の実践したい医療と、地域のニーズに合わせた医療がマッチしていなければ意味がありません。これはとても重要で、独りよがりの医療は不要ということです。

経営という意味でも、医療施設としての責任としても、これはとても重要なことであると考えます。

 

「三方良し」


三方とは「売り手」「買い手」「世間」です。江戸時代から明治時代にわたって日本各地で活躍していた近江商人が大切にしていた考えです。信頼を得るために、売り手と買い手がともに満足し、さらに社会貢献もできるのが良い商売であると考えていました。

 

大河ドラマ『青天を衝け』でお馴染みの渋沢栄一の著、『論語と算盤』にもありますが、事業、実業はこれを満たしたものは繫栄するものということです。

 

自分たちの利益ばかりを考えるのではなく、ただ人のためになることを実践し、そうして蓄積していった信頼は、やがて回帰することになるものと考えます。

 

同じ医療を行うにしても、経営をしながら三方良しにしていくことが、大学病院での診療と、開業医のベクトルの違いではないかと考えます。

 

 

3.勉強すること

上記に挙げましたが、私は開業までに自分に課題を課しました(まだ役に立つかはわかりません。。。)これは開業後にまた記載したいと思います。

 

① 経営の勉強:

論語と算盤をはじめとした書籍を多く読む、実際の開業に関するHow to本、税務に関する書籍、人事労務に関する書籍や法律について、など

 

② 開業医としてのスキルアップ

今までの専門医資格や産業医資格の維持、更新をするだけでなく、プライマリ・ケアや旅行医学の勉強、の取得、研修会や講習会といった勉強会への積極的な参加など

諸先輩へ実際の経験談を多く伺ったり、アドバイスをいただく

 

③ お金の勉強:

簿記やFP資格の取得、勉強を通じて事業が順調か否かを理解し把握できるようにする。自身のお金の心配が無いように(=お金に囚われずに理想的な医療を実践できる土台を早期に築く)、倹約と貯蓄、投資を行う。

 

4.どんな医療がしたいのか

漠然としたイメージはあるものの、それを医院のスタッフと共有することが大切であると考えます。

『経営理念』について、さまざまな定義がなされていますが、それらに共通しているのは、「経営理念とは企業経営における目的・価値観であり、指針・指導原理である」ということです。より具体的には、「会社や組織が何のために存在しているのか、どういう目的で事業を行っているのか、どのような考え方で行動するのかを明文化したもの」で、医院をなぜそこでこのようにやるのか!を明文化してスタッフとともに実践する必要があります。

 

大学病院での医療ではそんなことは全く考えたこともありませんでした。でも、ふと立ち止まると、自分の理想とする医療のイメージは自分が作り上げたい、そう思うようになりました。チームとして実践できたさいには、今の仕事とはまた違ったものの見え方になるのではないかと期待しています。